種田山頭火の句碑
しぐれてぬれてまっかな柿もろた
途中、すこし行乞、いそいだけれど牟岐へ辿り着いたのは夕方だった。よい宿が見つかってうれしかった、おぢいさんは好々爺、おばあさんはしんせつで、夜具も賄もよかった、風呂に入れて三日ぶりのつかれを流すことが出来た。 御飯前、数町も遠い酒店まで出かけた、酒好き酒飲みでないと、たうてい解るまい。
山頭火日記抄 |
昭和14年11月3日、山頭火は58歳で牟岐町を来訪しました。笠も衣も着ないで鉢も持たず、粗末な着物を着たままの姿でした。当時は食糧難で野宿する秋冷な日々が続いていました。 そんな時、長尾屋で受けたおもてなしは有り難かったと思われます。人情味あふれる牟岐町民の人柄が伝わって句と文章です。 翌、昭和15年松山市にて往生しました。 |