種田山頭火の句碑
酔うてこほろぎと寝てゐたよ
酔うて |
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こほろきと |
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寝てゐたよ |
十月七日 晴、行程二里、目井津、末広屋(三五・下) 雨かと心配してゐたのに、すばらしいお天気である、そここゝ行乞して目井津へ、途中、焼酎屋で藷焼酎の生一本をひつかけて、すつかりいゝ気持になる、宿ではまた先日来のお遍路さんといつしよに飲む、今夜は飲みすぎた、とうとう野宿をしてしまつた、その時の句を、嫌々ながら書いておく。 酔中野宿 ・酔うてこほろぎといつしよに寝てゐたよ 大地に寝て鶏の声したしや |
二月十五日 少し歩いて雨、布津、宝徳屋(三〇・中) 気が滅入つてしまうので、ぐんぐん飲んだ、酔つぱらつて前後不覚、カルモチンよりアルコール、天国よりも地獄の方が気楽だ! 同宿は要領を得ない若者、しかし好人物だつた、適切にいへば、小心な無頼漢か。 此宿はよい、しづかでしんせつだ、滞在したいけれど。―― |