種田山頭火の句碑
このいたゞきに来て萩の花ざかり
山頭火の『行乞記』によると、昭和5年9月17日、人吉から「八時の汽車で吉松までゆく。」さらに行乞しながら京町温泉まで辿り着き宿をとった。「……人吉から吉松までも眺望はよかつた。汽車もあえぎあえぎ登る、桔梗・藤・女郎花・萩・いろんな山の秋草が咲きこぼれてゐる、惜しいことには歩いて鑑賞することが出来なかつた。(少し脚気気味なので)」と矢岳高原のことをふり返っている。他にも 山の水はあふれあふれて ・投げ出した足へ蜻蛉とまらうとする はてもない旅の汗くさいこと ありがたや熱い湯のあふるゝにまかせ と詠み、翌日に宿した市内飯野では ・濡れてすゞしくはだしで歩く ・けふも旅のどこやらで虫がなく の句を残した。 |