むかしむかしから猿沢池には不思議な言い伝えがあります。「澄まず濁らず出ず入らず蛙はわかず藻は生えず魚が七分に水三分」
贈 奈良ライオンズクラブ |
諸国一見の旅僧が奈良春日明神に参詣すると、一人の里女が来て、当社の由来を語り、なお僧を誘って猿沢の池へ行き、昔帝の寵愛を受けた采女が帝の御心変わりを恨んでこの池に入水した事を語り、自分はその幽霊であるといって、池の中に入る。僧は池の辺で読経回向していると、采女が現れて、成仏を喜び、采女についての逸話を語り、歌舞を奏して再び池に消えた。という大和物語の筋である。 采女への哀悼歌 我妹子(わぎもこ)が寝くたれ髪を猿沢の 池の玉藻と見るぞかなしき(人麻呂) |
(あのいとしい乙女のみだれ髪を猿沢の池の藻と見るのは悲しいことだ。) |
猿沢の池もつらしな我妹子が玉藻が かつかば水もひなまし (帝) |
(猿沢の池を見るのは恨めしい。あのいとしい乙女が池に沈んで藻の下になっているのなら、いっそ水が乾いてしまへばよかったのに。) |
謡曲史蹟保存会 |