虚子の句碑
松原の続くかぎりの秋の晴
天屋玄龍旧居跡から松原公園へ。
気比の松原は、三保の松原(静岡)、虹の松原(佐賀)と並ぶ日本三大松原のひとつ。
昭和32年(1957年)10月4日、高浜虚子は敦賀市の招きで来遊。84歳の時である。
更に氣比の松原に車を驅つた。一帶の松原が長く海岸に延びてゐる。所謂氣比の海である敦賀灣の水は長く前方に廣がつてゐて日本海に連なつてをる。景勝のところと呼ばれてをる花城(はなじり)海岸に車を降りた。用意して來た籐椅子二三脚は松の間の砂上に並べられた。私等は暫くそれに腰を下して景觀を恣にした。また或る時は渚まで歩を移してみて、その囁く如き靜かな波がわづかに杖の先をなぶるやうなのを見た。私は波打際を一二町も獨りで歩いてみた。