国道120号から裏見の滝に向かう道の反対側に安良沢(あらさわ)小学校に行く細い道がある。 |
「『夏』とは夏行・夏安居・夏篭などの略で、僧の修業のことをいう」と書いてあった。「修業」は「修行」が正しいと思う。 |
自動車が山を下りて、裏見の滝道と中禅寺湖道の合するところを走っているとき、私は左手に句碑のような石の後姿を見かけ、自動車を停めさした。果して然り。芭蕉の句碑 しばらくは滝にこもるや夏の初 であった。 句碑はもと裏見の滝にあったが、洪水で流出したので、昭和三十一年にそこに再建された。小杉放菴の書。 直ぐそばに日光製銅所の鉄路がある。車輛輻輳のそんなところに句碑は立っているのだ。谷は冷えるが、裏見の滝にある方がよい。
『句碑をたずねて』(奥の細道) |
元禄2年(1689年)4月2日(新暦5月20日)、芭蕉と曽良は、午前8時ごろ上鉢石町の五左衛門宅を出て裏見の滝へ向かった。 |