夏目漱石はリウマチ治療のため不動滝に近い天野屋に逗留しました。朝日新聞に連載された「明暗」には主人公が不動滝へ向かう場面がありますが、小説は漱石の死により未完に終わりました。 |
大正5年(1916年)1月28日、夏目漱石はリウマチの治療をかねて、中村是公、田中清治郎らと湯河原に出掛け、2月16日まで天野屋旅館に滞在した。 |
彼は漫然と万年筆を手にしたまま、不動の滝たきだの、ルナ公園(パーク)だのと、山里に似合わない変な題を付けた地方的の景色をぼんやり眺めた。それからまた印気(インキ)を走らせた。今度はお秀の夫と京都にいる両親宛あての分がまたたく間に出来上った。
『明暗』(百八十一) |
平成10年(1998年)、「湯河原ゆかりの美術館」開館。 平成17年(2005年)、旅館「天野屋」閉館。 平成18年(2006年)10月、「町立湯河原美術館」に改称。 |
湯河原五大滝(白雲の滝、清水の滝、五段の滝、だるまの滝、不動滝)の一つ。滝の名は滝壷のほとりに不動明王を祀るに由来する。 |
湯河原の不動の瀑の瀑守も秋ちかづけばものを思ふや 熱海なる逍遙莊もおとづれずあわただしもよ去年(こぞ)の夏旅
『故 園』 |
不動滝より渓流沿いに奥湯河原方面に歩くと見えてくるのが五段の滝。全長100mに及ぶ滝が五段に見えるところから、「五段の滝」と名付けられました。 |