俳 書

『續一夜松後集』(几董編)


天明6年(1786年)、几董は『續一夜松後集』上梓。

 享保十八年癸丑春正月

   一夜松集巻頭

天津香も殘りて雲の一夜松
   宗阿

太刀持を犬や嗅らむ梅花
   几圭

明和八年辛卯春三月

   京師に夜半亭を移して、文臺をひ
   らく日
   蕪村
花守の身は弓矢なきかゝし哉

   續一夜松 奉納發句混雜
  東都
朝霧や晴て羽たゝく松の鶴
   不騫
  
誰人の孝にめでゝや雪の梅
   天府
 善光寺
面白のはつ神鳴やうめ曇
   柳莊
  エド
梅が香を袂に入てそら寐哉
   成美
  
梅が香や神の瓶子を給ふ時
   班象

鵯にあぶらのりけり梅のはな
   不騫
 ブンゴ
さへ返る七星高しうめの花
   一鷺
  
鉢たゝき來ぬ夜ほど有梅の門
   巴人
  
梅がゝや千鳥なく夜の寒からす
   馬耳
  
楳咲てまこと也けり太郎月
   木奴
 シナノ
卯花に捨松明のけぶり哉
   雲帶
  
古株や木瓜は小松の下雫
   如毛
  
まつ風や鹿子うまれて鴉啼
   麥二
  江戸
凉しさや寄て網うつ松の陰
   龜文

梅のはな扇をかざす日となりぬ
   只言

楳の春かくす事なき空の色
   瓦全
  南ブ
空見れば十一月やうめの花
   素郷
  エド
松の雪松の白瀧夜明たり
   完來
 義仲寺
有明にせまりて白し寒の梅
   沂風

   檐 前

風鈴や馴て涼しき軒の松
   天府

寒梅や動かぬ水とはなびらと
   不騫

梅がゝに動きそめけり虫のから
   成美

扇もて尺とる松の下すゞみ
   春坡
 タジマ
寒梅や下枝は雪の足して咲
   木姿

梅が香やおもふ事なき朝朗
   闌更

明る夜の霞を梅のはなれたり
   臥央
 ナゴヤ
梅散や草堂に燈もとし行
   曉臺
  エド
踏ばつて一夜の松に梅花
   重厚
 ナニハ
御意に入らむ北野ゝ森の梅紅葉
   旧國

ことに松の常盤といはむ四月哉
   フル國

更ゆくや梅をはなれて梅の月
   百池
 ナゴヤ
雨の月今はどちらの松の上
   士朗
  
松ばらや風に添ゆく稲の音
   岳輅

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