並木寂阿

『揺松集』


 寛政12年(1800年)、二世飛鳥園並木寂阿一叟が「搖ぎ松」に芭蕉の句碑を建立した記念集。



此道に出てすゞしさよ松の月

 寛政12年(1800年)8月、上梓。兎什編。飛鳥園一叟序。五世白兎園宗瑞跋。

 兎什は二世一事園兎什。下総香取郡安久山村の人、俗名木下兼治。飛鳥園八世。

 飛鳥園一叟は並木寂阿。下総香取郡御所台村の人、俗名並木七郎右衛門。初号芝蘭。別号兎什。

此道に出て涼しさよ松の月
   芭蕉




一事園
散ることの葉に有りなから松経りぬ
   兎什

上サ行川
ゆるく時散る歟朧に松のはな
   里丸

信州戸倉
松の葉に香を篭にけり千々の春
   虎杖

上毛草津
雉子啼て松のたけ見る旭かな
   鷺白

亀崎
汐汲の松にふり向く時雨かな
   梅朝

武八王子
松ゆるく魂とや家の青あらし
 女 星布

吉田
児の手に松の花さく匂ひかな
   箕風

春海
浪運ふ連山近しまつの花
   吉恵

   春之部

鳥は寝て月に雨持つさくら哉
   翠兄

相州飯田
道の程立語りするひかんかな
   春鴻

甲州藤田
三日月のはや大事也梅の華
   可都里

大坂
遊ふにもものかた寄らす春の月
   大江丸

勢州
暖ふなるにも白し山さくら
   宗雨

京都
行燈に降るや二月の夜の雨
   丈左

房州平磯
人声や朧月夜のひかし山
   郁賀

雪中庵
春の日の打忘れては暮にけり
   完来

桜々雲となり又雪となり
   西湖

   夏之部

古人
蚊の声の中に火を打夕部哉
   蘭更

 
涼しさや見る間に星の二つ飛ふ
   梅人

吉田
葉桜に琴爪拾ふ高根かな
   箕風

房州
行ものは水に限らし蝸牛
   杉長

   秋之部

無物庵
晩鐘や薄の中の花すゝき
   存阿

半分は秋となりけりとふからし
   梅朝

   冬之部

房州
枯芦や何を喰ふて人の家
   瑞石


冬のむめかことはかりそ散りにける
   飛鳥園

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