半場里丸

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『雪のかつら』

文化10年(1813年)、太田万里は採荼庵四世を継承。

文化12年(1815年)、万里『旦暮帖』。

文政4年(1821年)、『雪のかつら』(里丸編)。採荼庵萬里、序。

雪の内の昼皃かれぬ日影かな
はせを

   李下植艸庵芭蕉

芭蕉植て先悪む荻の二葉かな
 ゝ

いつくしくれ傘を手に提て帰僧
 ゝ

時雨つゝ雲にわれぬる入日かな
 杉風

初雪や足らぬふもとは宵月夜
 梅人

琴ひとり雪を感る空音かな
 蓼太

かくれ家や人のくれたる白牡丹
 闌更

蛍見や艸に丈たつ処まて
 鳥酔

更衣庵は葎と成にけり
 重厚

花菫たつ日のはやき思ひあり
 白雄

長月にかゝる深山の夕日かな
 升六

遊ふにも月日は減るど百千鳥
 樗堂

あく迄に閑にふたり冬の月
 士朗

かまきりの背にもおふさる螽かな
みち彦

何に此の袴着る世そ蝉の声
 成美

菜の花や染て見たひは不二の山
 巣兆

   五畿内

花の雨日枝見おくらぬ人もなし
 雪雄

大山に隠里あり帰り花
   河内 耒耜

山の根を倦すにもとる若葉哉
   摂津 奇淵

   東海道

是かあの花すゝき也茶の烟
   尾張 岳輅

艸の戸の梅はこまかに咲にけり
   三河 卓池

山の梅咲て小笹のさえさえし
   甲斐 嵐外

淋しさをうかうか寝たる桜かな
 漫々

閑古鳥啼やきのふの我に又
 蟹守

身ひとつの夏をあつける柳かな
   伊豆 一瓢

青梅や気の減るほとに掃寄る
   相模 雉啄

枯芝や春を押出す水の泡
   武蔵 万里

もの知の言はむつかし草の花
 寥松

白芥子に雲行ぬける月夜哉
 詠帰

鴨川の冷の通すや小石壁
 蕉雨

夜寒さや草跨かねは町もなし
 鴬笠

逢ふ坂や人の煖婆にとふむかし
 護物

花塩のはりま路とこそ郭公
 対山

めつらしう豊後咲けり社日過
 何丸

   西海道

桜木も胼さりし也山颪
   肥前 幽嘯

辛崎や神代もありて花曇
   日向 真彦

いねいねとおもふ客あり秋の暮
   江戸 成蹊

咲罌粟の花の底迄ひとへかな
   信ノ 素檗

棟揚の欝金の足袋や曇る空
    夢南

朶の鳥の逆に移る水寒し
   行脚 素玩



   文化七年二於随斎興行次韻

野の宮の風よけ椿咲にけり
 里丸

 小家かりても霞む此ころ
 成美

餌袋に鶴の春辺も惜しまれて
 幽嘯

 旅の心の垢やしみなん
  丸

有明の淋しき榎又あれな
 一茶

 舟板つめはこほろぎの来る
  嘯
   (※「こほろぎ」=「虫」+「車」)
石鑿の音のときれに更る秋
 鴬笠

 袴もはかぬ気比の代参
 護物

何事か扇のはしに書とめて
 寥松

 水乞鳥のうらむ空なき
 蕉雨

川浪のかゝる篠家に夜の明る
 雉啄

 煮足らぬ昆布の鍋にかさはる
 雨塘



   文化十四年正月於金令舎興行

   文政二年八月於田喜庵次韻

墨付た小僧の皃も松過し
 みち彦

 わさとめかして東風かへす塵
 里丸



痩鹿のうしろ見てやる山の端に
 里丸

 草も刈らせぬ樋の口の土
 護物



秋さひも沙汰のかきりや鳩の鳴
 里丸

十四夜や月も光の中を行
 車両

卯の花のとれを折ても散にけり
 久藏

足事の冬よ庵の釜たらひ
 応々

衣更着や又死たくもなき日和
   玉川 宝水

世の人と言はれて我も秋の暮
  クマ谷 呂律

雪の人ひと又我を雪の人ひと
  クサツ 露白

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