松風庵玉斧

『矢さしが浦』


 天明7年(1787年)頃、玉斧が師胡蝶の松風庵を継承した記念集。曲直庵亀文跋。

弓張の影や矢さしか浦の春
玉斧

ことふりにたる魚屋の門松
 一馬



玉鉾の筆を下すやはつ硯
 玉斧

起したら終さめそふなねはん哉
 一馬

春風や潮乾きて寄藻白し
     曽我野
 眉尺

空もまた嘘つくけふの余寒哉
      竜代
 南道

   宗祇の旧蹟に庵を得て、

桜見る人とらまへて代かゝむ
    洛 行脚
 美丸

うくひすや夜もほのほのと窓明り
      新川
 二川

紅梅や風呂に酔ふたる児の顔
 天地庵

鐘の緒にひとつゆらるゝ乙鳥哉
 白兎園

行水の除て通る芦の角
 多少庵

梅か香や寝すに夜明る泊狩
 抱山宇

玄鳥の塵見て歩行都かな
 雪中庵

   歌 仙
飛鳥園連中
武蔵野の草にもいらすほとゝきす
一叟

月渺々と明るみしか夜
 麦雅



   書 音

半輪は笆にかくす牡丹かな
   常陽ヌカタ
 三日坊

すらすらと白雲過る若葉哉
 桃祖

こらへかねて燈きへたり啼水鶏
 軒栗

卯の花に空しき梵論の姿哉
      松島
 丈芝坊

鳥か啼くあつまに多しほとゝきす
      水府
 曲直庵

涼しさや草に飽たる馬の顔
      故人
 松風庵

   矢さしか浦の銀杏亭を訪

一と筋に目当の的や月の主
    武 鴻巣
 柳几

水鳥や夏見し鳥も浮ましり
      銚子
 存阿

秋津洲や此大雪に波の□
 松露庵

かいきえてまた顕るゝ雪の鹿
 春秋庵

冬枯や鳥さへ啼かぬかた木原
    相川猿島
 丈水

蚊遣り火や世は遁れても蚊の声や
    仙府 釈
 也寥

春の雨灸のあとの皆癒し
      本宮
 冥々

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