安斎仙鳥
『卯の花くもり』
姉仙鳥身まかりけるに |
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卯の花の雪折かなし上つ枝 | 雪涛 |
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雪涛妻 |
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乾ははしな卯波の露の袖袂 | ちゑ |
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坂の下 |
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姑の身まかり給ふかなしさに |
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はかなしや今墨染のころもかえ | よね |
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晨鐘とともに往生したまひけれは |
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暁の鐘身にしむやほとゝきす | 鳥秋 |
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雪下 |
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□両は鵜に呑まれたる蛍かな | 百遊 |
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大町 |
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紫の雲路に床しほとゝきす | 米社 |
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いつの事かとよ仙鳥うし身 |
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まかるよしそこの友かきの音 |
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信たるに |
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露柱庵 |
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扨はとてそなたへ向は柳散る | 春鴻 |
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江戸 |
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芍薬もくねる数なり夕あらし | 成美 |
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去年の卯月仙鳥のうし |
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こなたへわたりたまひてかたミに |
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うれしと語り合ひ侍りしに |
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此卯月は長き別れと成ぬる |
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ことのいとかなしく只夢の |
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やうにたいめの折からの目に |
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残り侍りて俤のゆかし袷のうしろつき | 古友 |
星の井安斎氏仙鳥ぬし | 卯月六日に往生したまふと | 藤沢よりしらせけるにうち | おとろきて | 先へ散る花尊しや芥子畠 | 泰里 |
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