鶴田卓池



『東都紀行』

享和元年(1801年)、鶴田卓池は井上士朗に随行して江戸から信州へ旅をする。

  小夜中山

鳩の鳴枝は枯たり山さくら

  箱 根

□□□流れにも松春山辺哉

  江島暁天

海を見て居てはものくふさくら哉

  鎌 倉

ゆゝしくもかなしくもちるさくら哉

東 都

  御殿山

花に先草鞋とく也御殿山

品川や舟のあはひに春の海

  東叡山

ちる花は皆人につく上野哉

  深川会即時

さゝ浪にかきね結けり暮の春

行春やさくらの散てたゝ二日

三月十八日江戸ヲ立

  鴻巣にて

忘れては杖買ふ花の木下哉

春雨の朝々あかる旅寝哉

  吹 上

吹上の里の名にちるさくらかな

  妙義山

虎杖や天狗曇の雲しめり

  浅間嶽

日の影は浅間かたけの烟かな

  犀 川

犀川の水まさりけり藤の花

  善光寺

月仏信濃へ花の頃に来て

  姨捨山

桂木のものおもはする芽出哉

  清水の里にて

水の涌くさては住よき四月哉

  諏 訪

夏来てもきても桜は咲にけり

鶯はいつちを鳴諏訪の海

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