芭蕉翁袖塚碑

『袖塚集』


 会津高田村の俳人田中東昌(月歩)がもらいうけた芭蕉の右袖を弟子の小林麻蔵に預けた。麻蔵は、この袖を伊佐須美神社の薄墨桜の下に埋めて「芭蕉翁袖塚」の碑を建立した。

「芭蕉翁袖塚碑」


天保10年(1839年)5月、東昌の一周忌に『袖塚集』を編む。

元日やこの心にて世に居たし
   古人
 闌更

肌ぬきの肩白かれや弓はしめ
   江戸
 溪斎

萬歳を待せて掃や焚ほこり
   江戸
 松什

老か手は長いといふや羽子遊ひ
   最上
 二丘

八百屋にも花屋にもなし佛の座
   江戸
 逸淵

寐る気にて戻る宿にも月と梅
  シナノ
 正阿

眼にしミる梅の光りや二三輪
   江戸
 卓郎

君か代や梅に鴬相かはらす
   江戸
 詠帰

鴬や二三の聲に向直り
   
 護物

眼も鼻も煮たれハしれる白魚哉
  ヱチゴ
 茶山

岩根行人ふいふいと春の風
   古人
 斗入

東風吹や永い春とて少しつゝ
   米沢
 太橘

はやう出て足もはこへぬ蛙かな
   三河
 卓池

蓮翹や掴ミ直して飛雀
  仙タイ
 宗古

能連の一人二人や遅さくら
   江戸
 碓嶺

花咲と花に飛こむ烏かな
   大坂
 鼎左

誰か畫か思ひたされす花の中
   古人
 馬年

木より花散とは見えす嵐山
   江戸
 鳳郎

何処へ行と子の根問する袷かな
奥スカ川女
 晴霞

咲まては葉のゆるまらす杜若
   甲斐
 嵐外

杜若置た露ある畳かな
  仙タイ
 士由

昼中や馬糞にとまる夏の蝶
   江戸
 由誓

   加茂の競馬

せんたんの花盈るゝや鞭の先
   カゝ
 卓丈

五月雨や机の下の火打筥
   江戸
 一具

撰る間けろりと立や茄子賣
   尾張
 而后

御祓して風引まいそ菊之丞
   古人
 道彦

朔日の禮からいふや今朝の秋
   古人
 乙二

秋風や頭の白き蚯蚓掘
  江戸女
 應々

女郎花五本寄せてもひとすかた
   古人
 曰人

しりしりとあしたへあます夜寒哉
   カゝ
 梅室

大雪や雪のよこれを降かくす
   江戸
 抱儀

はよ暮よ三日はかりは何にせん
   古人
 成美

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