俳 書『しぐれ会』

『しぐれ会』(寛政7年刊)


寛政7年(1795年)10月12日、小林一茶が時雨会に参列している。

寛政七卯年十月十二日於粟津義仲寺興行

     一坐捻香

 行脚
義仲寺へいそき候はつしくれ
   一茶

  (へつほつ)
見わたせは時雨も白し比良の山
   丿ヘ

かゝる日のまことしくるゝや月なから
   丈左

     奉 納

 京都
日南ふる時雨過つゝ田鶴の声
   闌更

   但馬の竹田に旅寝し、法樹寺の花塚
   にて逮夜の会式をつとむ

夕しくれ爰に粟津の魂むかへ
   瓦全

しくれ会や例のことく霽ふる
   蝶夢

鶏をぬすまれし夜や霜深き
   菊男

芹売の背戸ぬらしけり夕時雨
   柳荘

呼声のしくれて高し肴うり
   柳也

しくるゝや裏表なき葛の音
   白輅

   むかしはせを翁、義仲寺に懸錫し給
   ふ比、尚白の元より蕎麦を送るに、
   「からみは俳諧の情なりけれはまい
   らするに及はす」と申せしを、殊に
   賞したまひしとなん。今も、そはの
   客ある時は、必其事をいひ出し侍る

しくるゝ夜誰にうたさん伊吹蕎麦
   重厚

     遅 参

   年々翁忌の法筵につらなりしか、こ
   としは遠き古郷にかへりて

粟津野や霽のへたつ入佐山
   木姿

一曇り枯野を通ふ根なし雨
   木朶

四五輪の夫もさかりよ石蕗の花
   古帆

冬籠発句を珠子に繰出さん
   丈水

俳 書『しぐれ会』〜に戻る