白井鳥酔ゆかりの地
鴫立庵
往し年弥生の晦柳居先師の位を肩にし来て草堂上人の肖像のかたはらに安し奉り二尊に香水のェをつくしかつ余生を夕くれの詠にたのしむ |
明和六年四月 戯れに「我たつ沢」と先師の頌歎せられし此沢に挽歌をなす。「桑の実の黒きを」と松露師の章をさきとしてをのをの、土竜叟はほととぎすの声を墓樹にかけられしもおもひ余りてなるべし。そのわりなさにいとゞむねせまりて無期に臥す。膝に藉(け)る草々の中に色うすくしげれるものあり。さしも艸にさしも似たり。生前に我灸箸のかろきを歓び、道の為に老の命をいのり給ひしや。 |
ゆふ凪や礒山遠くきしか啼 | 烏明 |
しむしむと見れハ黒きを寒念仏 | 鳥酔居士 |
名月や人静て秋の暮 | 百明 |