半場里丸

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『里丸句稿』

文政の頃、成立。

房州於瓢庵興行

帰リ花咲てついそれそこにあり
   杉長

 玄猪に来ても三夜さ二夜さ
   里丸



甲州於黄楊門即興

木の中の木の香の有や郭公
   里丸

 ひとり楓の夏を吹出す
   漫々

長かれと陸奥紙を紙燭して
   重行



同国西郡於鷹園即興即興

尾長啼け若葉曇の押まわる
   里丸

 我とわか身の珍らしき夏
   蟹守



   歌仙         信州上諏訪 
素檗亭興行

郭公二ッ并はゝ暑からめ
   素檗

 あやめ見に行花の雨間
   里丸



   俳諧之連歌      上州草津温泉 
雲嶺庵興行

そはそはと七夕栄のする在所
   鷺白

 残る暑さをかくす薄月
   里丸



   文政二弥生
於瓢庵三吟興行

漉し水も間に合兼し桜哉
   杉長興行

 みちか袴の裾の陽炎
   里丸興行

ちゝめきの折々並ふ春旧りて
   平雄



   文政二己卯八月廿五日
雪中庵興行興行

秋風の秋風を追ふ野中哉
   対山興行

 雁呼雁の落る有明
   里丸



   文化七年二月十六日
随斎興行

野の宮の風よけ椿咲にけり
   里丸

 小家かりても霞む此ころ
   成美

餌袋に鶴も(の)春辺を(も)惜まれて
   幽嘯

 垢しむ迄と旅の衣手
   丸

有明の淋しき榎又あれな
   一茶

 舟板つめはこほろぎの来る
   嘯
      (※「こほろぎ」=「虫」+「車」)
夢介か飯時はつす秋の暮
   浙江



   文化(十)四丑年正月於金令舎興行

   文政二卯年十月於田喜庵にて次韻

墨付た小僧の皃も松過し
   みち彦

 わさとめかして東風かへす塵
   里丸



痩鹿のうしろ見てやる山の端に
   里丸

 草も刈らせぬ樋の口の土
   護物



   文政二卯十月
八巣亭興行

おとろへや時雨る夜々に似る心
   蕉雨

 今年は声のおそき木兎
   里丸



水底に霜の置やら墨田川
   曰人

 鴎のかけを月と見るより
   蕉雨

蟷螂の斧も入たる家建て
   里丸



   文政十一戊子三月
於田喜庵興行

花を洩るあまりや我に月かさす
   里丸

 蝶を相手にひとりくむ酒
   田喜



野の宮の風除椿咲にけり


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