小林一茶ゆかりの地



『さらば笠』

一茶が6年の西国行脚を終え、東帰の記念集。

寛政10年(1798年)、刊。

 寛政10年(1798年)6月22日、小林一茶は戸谷双烏に『さらば笠』を送り、配付を依頼した。

双烏は何故か封書入書冊を開かずに、そのまましまい込んでしまった。



   此裡に春をむかへて

我もけさ清僧の部也梅の花
   一茶

 かすみ見そむる白雲の鐘
   住持

百千鳥小笠を釣(※「金」+「句」)らぬ郷もなし
   升六

 あは(わ)たゞしくも飯の吹立
   万和

かり枕ひき起こさるゝ月代に
   闌更



あらましに大和は見つれ春風
   丈左

 小櫛うづむる丘の暁
   一茶



   留 別

   
とそ酌もわらじ(ぢ)ながらの夜明哉
   一茶

   
梅わかなさぞ乙州のとろゝ汁
   好山


  ヱド
梅の月だまつて居てもよき夜也
   長翠
  
姿見に紅梅のちる風情かな
   元夢
 下フサ
蛙なくあなたや葛西二合半
   斗囿



   餞 別
 ナニハ
古郷は遠にあらずうめの花
   尺艾

雲ごゝろ柳は蓑に添ふものか
   升六

雉なくや忘んとして父母の事
   駝岳



鶯の物にかまはぬ初音哉
   奇淵

礒の香のゝりにもどるや春の雨
   不二

木々の芽にはや遠山の入日哉
   大江丸
  
家ありや夕山ざくら灯のみゆる
   闌更

  江州
正月や火燵のうへの小盃
   重厚
 ハリマ
うぐひすの声海山にみどりせり
   玉屑


  亡人
わけもなき隠者隙なうて春くれぬ
   漱石

   (石漱)
白魚の露ながら日にすかし見て
   羅城
  与州
久しぶりにさぞ吉原の花桜
   魚文

   も一日留んと

鐘の声翌はふるべき春がすみ
   樗堂

   餞別吟遅来
 下フサ
蜘の巣に一升ばかりさくらかな
   馬泉

  
梅が香の三ヶ月明り山下る
   丈左

かすむ日のさしてうごかぬ流哉
   百池

   ○

正月の燈(ともし)ひかるやうらの家
   升六

 春風も夜はみぞれ也けり
   一茶


  ヱド
白梅のさらりと咲し県かな
   春蟻

  
はる雨や窓はいくつもほしきもの
   成美

  
春雨のなかばは風のは山哉
   完来

  
山一ッあなたの猫の来事よ
   みち彦

  南部
二月や風の末よりあらし山
   一草

 シナノ
鶯の此竹迄は来ざれけり
   素檗

  
淋しさは人にこそあれなく蛙
   蕉雨

  
此やうな闇にもちるかきしの梅
   柳荘

 ヨシ田
春の月入江の水の匂ひけり
   木朶

家五尺迹へひかばや梅の花
   卓池

  雲水
青柳にゆられて青き月よ哉
   斗入
 ナゴヤ
大仏の雨を見に行春辺哉
   士朗

 ムサシ
春雨の夜もはたおる河内かな
   双烏

松の風落て女猫の声ス也
   升六

 ヒタチ
たゞならぬ寒ぞ梅の匂ふ夜は
   翠兄


 義仲寺
笠松の花踏みちらす烏哉
   祐昌

  
   離道に樽を開てなごりを惜む

  
まてしばし都の富士の花七日
   闌更

 東はいまだ寒げなる空
   一茶



   四十の春をむかふ
  

  南部
黄鳥に我とし隠かゞみ哉
   平角

  秋田
やぶ入のしきみ提ぞあはれなる
   五明

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