滄浪亭未雷

『ぬれ若葉』(まん女編)

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筑前博多の俳人滄浪亭未雷の追善集。

元文4年(1739年)4月5日、滄浪亭未雷没。
元文4年(1739年)5月、浅生老人野坡序。
寛延3年(1750年)4月、滄浪亭まん女跋。
寛延3年(1750年)正月、謙江斎素蝶跋。

   月雪もともに折たる若葉かな

元文四年五月日
   浅生老人野坡書



螢こひ塚のまくらのありあかし
   湖白



年来滄浪亭に集置たるふるき人の句など此序に出し侍る。

傘や薪の夜の蟻通
 其角

涼しさや数の子ふやす滝の下
 曽良

ぬか味噌に蓼の青みや朝嵐
 魯九

   滄浪亭に住替りける年旅ねして

すゞしさや昔かやうの祖父と祖母
 浅生

あまり秋ゆふべの隈をとり残し
 洒堂

鶏頭に双ぶや寺の一旦那
 岱水

神仏なをも頼母の節句かな
 諷竹

   孫にわかれて

とり散す遊び道具や穐の風
 正秀

大かたの木にはかげあふ薄かな
   肥後
 使帆

芋の葉やおのれが秋をゆり飜す
   黒崎
 沙明

雪の日は常盤午前のいとをしき
 去来

から鮭は猫の分前ふくろかな
 越人

豆をだにきかぬ藁屋もこれや此
 嵐雪

無名庵日録

入口の難波は涼し葭すだれ
   東武
 柳居

   返し

あの雲にいきるや暮の花瓢
 梅従

物かけと芭蕉一もとやれ残り
   伊勢
 麦浪

宿広き我木の下や門の松
   伊勢
 安楽坊

餅花の咲にもさぞな十万家
   加賀
 希因

名月に憎れて見る門の松
   加賀
 見風

恥かしき山の端もありけふの月
  義仲寺
 雲裡

世渡りや戻りは闇の蛍うり
   
 文下

うはつゐた雲も落つく若葉かな
  伊勢津
 二日坊

   天満参りの帰るさ半時庵を訪ひて

鶯と物いふ枝の雀かな
 浪女

   返し

鳳なれや桐も若芽の艸の宿
 淡々

   時鳥二句

ほとゝぎす啼や紛るゝ五韵聞
 浮風

郭公友や初音の職敵
 梅従

   寛延巳歳八月高津庵下に碑を建る。
   石工が彩色の奉行を預かりて

石の文字照や赤間の月の海
 浮風

三日月のぬけて落たる柳哉
   江戸
 鳥醉