五味可都里

『農おとこ』(可都里編)


天明8年(1788年)、『農おとこ』(可都里編)刊。闌更序。

 農男とは、麦刈の頃、富士山に残った雪が、笠をかぶり鍬を持った男のように見えることをいい、この時期田植えをすることが習わしであるという。

不尽のねや皐月定る雪をとこ
可都里

 雨ぬれをとめ野は田うゑ笠
 闌更



   歌僊

夕暮や真白きうへに天つ不尽
闌更

 あしがらごえもいのちなりけり
 可都里



ほとゝぎす朝寝の里に田長よぶ
 可都里

杜鵑まつたのしさの更わたり
 作良

   おなじこゝろを

鳥総たてし明るき山にほとゝぎす
    闌更

千鳥啼や川下の月京に入
   差出 石牙

箒木にあやまく庭のへだてかな
 如毛

   姨捨山にて

名月や千曲の夜霧越の雲
   信濃 伯先

きりぎりす鳴や小藪のかいまがり
   上毛 似鳩

降雪や陽さかむなるおこし炭
 鷺白

木瓜咲や木履をはいて遊び行
 丈水

朝戸出や露になれたる丸天窓
   嵯峨 重厚

   よし野にて

花の雪梢は花にわかぬかな
   播磨 青蘿

   歌僊

貫之の燧さげつゝなつの月
可都里

 舳さき涼しさなみの浮鯛
 闌更

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