小杉一笑

『西の雲』(丿松編)


元禄元年(1688年)12月6日、小杉一笑は36歳で没。

元禄4年(1691年)、『西の雲』(丿松編)。水傍蓮子序。

一笑追善集。

   辭世 心から雪うつくしや西の雲

行年三十六、元禄初辰霜月六日かしけたる沙草の塚に身は先立て消ぬ。聞人あはれかりて泣クめる。明ヶの秋風羅の翁行脚の次手に訪ひ來ます。ぬしは去にし冬世をはやうすと語る。あはれ年月我を待しとなん。生て世にいまさは、越の月をも共に見はやとは、何おもひけんと、なくなく墓にまふて追善の句をなし、廻向の袖しほり給へり。遠近の人つとひ來り、席をならし、各追悼廿余句終りぬ。且巻々をよりよりに寄す。兄(コノカミ)丿松あなかちになけきて此集をつゝり、なき人の本意に手向るならし。

水傍蓮子誌之

塚もうこけ我泣聲は秋の風
   翁

   供して詣てけるに、やさしき竹の墓
   のしるしとて、なひき添たるもあは
   れまさりぬ

玉よそふ墓のかさしや竹の露
   曾良
  桑門
盆なりとむしりける哉塚の草
   句空
  
槿やはさみ揃て手向くさ
   秋之坊

佛にもなられう秋の庵すき
   北枝

   しるしの竹人の折とり侍りしを植
   添て

折人は去て泣らん竹のつゆ
   丿松

   人々の句を吟しあはれ覺えて、予
   かつたなきも、をのつから追悼の
   巻と成ぬ
  大津
よしや只憶(アゝ)よしや只秋の暮
   乙州

上手になると死ぬるむしの音
   丿松
  亡人
春の雪雨かちに見ゆる哀也
   一笑

噛當る身のおとろひや苔の砂
   翁

   少幻庵閑會即興

殘暑しはし手毎にれうれ瓜茄子
   翁

三井寺の門たゝかはやけふの月
   翁

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