俳 書



『俳諧聟引出集』(沙白・非吹編)

 享保21年(1734年)2月、『俳諧聟引出集』(沙白・非吹編)。安楽坊春波序。新雨台沙白・尺蘆台非吹跋。

 沙白・非吹は備前岡山の人。安楽坊春波は伊勢山田の人。各務支考、後中川乙由に師事。

 春の部

   立 春

元日に田毎の日こそこひしけれ
   芭蕉翁

   早 春

梅か香に音して月の弓初
   春波

   春 興

春もやゝけしきとゝなふ月と梅
   芭蕉翁

   子日若葉

ひかれんと雪から覗く小松かな
   沙白

わかな摘し跡や雪間の七所
   乙由

   三月尽

鶯の調子かえたるあらしかな
   支考

   柳

青柳の眉かく岸の額かな
   守武

   花落花

山を越す波に音なし花盛
   非吹

 夏の部

   首 夏

夏きてもたゝひとつ葉のひとつ哉
   芭蕉翁

   納 涼
  加州
涼風やたもとにしめて寝入まて
   ちよ

 秋の部

   九月九日

草の戸や日暮れてくれし菊の酒
   芭蕉翁

   鹿

びいとなく尻声かなし夜の鹿
   芭蕉翁

   露

しら露や無分別なる置所
   宗因

 雑の部

   雲

明星や桜さためぬ山かつら
   其角

   隣 家

秋ふかき隣は何をする人そ
   芭蕉翁

   行 旅

乾たり時雨たり我旅姿
   涼兎

   恋
  亡人
すんとして誰か面影そ木居の鷹
   兀峰

   無 常

うらやまし美しうなりて散紅葉
   梅花仏

   白

月華の中の翁や志賀の雪
   安楽坊

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