俳 書

『茂々代草』(其流・楚舟・秋花編)


芭蕉百回忌追善集。

寛政12年10月12日、隠侯清秋序。回芳舎其香跋。

地元に伝わる芭蕉の遺墨が紹介されている。

高久青楓所持正筆写之

みちのく一見の桑門同行二人那すの篠原をたつねて猶殺生石みむと急き侍る程にあめ降出けれは先此ところにとゝまり候

落くるやたかくの宿の郭公
   風羅坊

 木の間をのそく短夜の雨
   曽良

   元禄二年孟夏

高久青楓所持正筆写之

   日光山に詣

あらたふと木の下闇も日の光
   芭蕉桃青

高久青楓所持墨跡写之

   田家にはるのくれをわふ

入あひのかねもきこへすはるのくれ
   風羅坊

益子其流所持墨跡写之

   那須野旅行之吟

野を横に馬引むけよほとゝきす
   はせを

   那須湯泉明神奉納

湯を結ふ誓もおなし岩清水
   翁

   同所殺生石

石の香や夏草赤く露暑し
   仝

麦や田や中にも夏のほとゝきす
   仝

   右は浄法寺桃雪亭にての吟也

   同高久にて

落来るや高久の宿の郭公
   翁

 木の間を覗く短夜の雨
   曽良



   常州額田
冬川に吹流す鳥の古巣かな
五老峰
   故人
郭公はや戸隠しの峰の雲
素丸
   かつしか
さつはりと唯一ツ葉や更衣
野逸

   黒羽根犬追物の跡にて

腰鎌や犬追捨て花千種
潭北
   野州塩原
今は世に広野の道や蜀魂
枕石

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