俳 人

露秀 ・ 冥々
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露秀は本名佐々木文右衛門本秀。郡山宿の旅籠佐渡屋主人。冥々の兄。

露秀   郡山 
   冥々兄也 

冥々   本宮 
   塩田茂兵衛 


冥々は本宮の人。塩田茂兵衛。別号九淵斎。

安達冥々俳諧ニ練達ノ名有リ。常ニ酒ヲ好ム。酩酊甚ニシテ句ヲ吐クコト頓ニ頻ナリ。醒レハ則チ口ヲ閉ル。


 寛保元年(1741年)、冥々は郡山の佐々木家に生まれる。

 明和6年(1769年)4月16日、蝶羅は奥羽行脚の途次嵐亭と共に露秀を訪ねている。

   浅香の里にやどりしに、此所の好士露秀とい
   へるより茶菓子など贈りて、誹談時をうつす

浅香とは沼にこそあれ深見草
   蝶羅

此清水汲とあるじの道しるべ
   嵐亭

   松嶋吟行の序なりとて嵐蝶二風子に訪れて
  郡山
かゝる夜を二度にわけたし時鳥
   露秀


 天明3年(1783年)8月、杉坂百明は「奥の細道」行脚の途中で病気になり、本宮の塩田冥々宅で療養、快方後郡山宿の佐々木露秀を訪れている。

 天明6年(1786年)10月16日、塩田冥々は松烟墨を土産に春秋庵を訪れる。

   めでたき松烟(すみ)を袖にせし人に酬ふ

する墨の香をつく宿のしぐれかな
   白雄

 鄙のたよりに袖寒きころ
   冥々

このやぐら鼬のかよひいづけくて
   春鴻

 寛政3年(1791年)、遅月庵空阿は奥羽旅行の途上冥々を訪ねている。

 寛政8年(1796年)8月16日、生方雨什は塩田冥々と川中島古戦場を見に行く。

 十六日。八幡の広前に手を合せ、各と手を分ちて、冥々唯ふたり戦のあと見ばやと、川中嶋さして行手を名所をはるかに見やり、一重山の心をひとつにして、とミに御幣川黛山にをもてあハす。


 寛政9年(1797年)、露秀の不孤園社中は蝉塚碑を建立。



閑さや岩にしみ入蝉の聲

碑陰に露秀の六百字余の碑文が刻まれているそうだ。

 寛政10年(1798年)4月、『蝉塚集』刊行。冥々序。

 寛政11年(1799年)、今泉恒丸の『続埋木』が冥々に届く。

 寛政12年(1800年)8月、大江丸は二所の関を訪れている。

あくればあさかの老人、こほり山の露秀をたづね、こめづらし二むかしと有しに、とりあへず、

   月の窓に二十余年の笑ひ哉

 やゝものうちかたり、たちいづるに、

別るゝや西と東に菊を折る
   露秀

ともに南の山をむ秋
   丸


 享和3年(1803年)、井田・草也・掬明ら「田植塚」を建立。露秀書。



風流のはしめやおくの田植うた

郡山市の栃山神不動尊に芭蕉の句碑がある。



さゝら蟹あし這のほる清水かな

露秀の建立という。

文化3年(1806年)3月1日、没。享年72歳。

露秀の句

むだ草のしげりて細し奥の道


木の下の蟹を見による柳かな


世の田植なくさみに見る物ならす


朝明や露におしなむ村芒


啼なから蝉なかれけり秋の水


柿もみぢ馬はいくつもはなれ居て


柿紅葉馬はいくツもはなれ居て


鉢たゝきあしたにハ米をはかり鳬


木も米もあるうち梅の咲に鳬


 文化7年(1810年)9月14日、今泉恒丸は60歳で没。

  他の國にみまかれる恒丸ぬしをいたみ侍りて

古郷の土ともならでちる芙蓉
冥々

『玉笹集』

   冥々が七十の賀

いつまでもかくてませませはな千句


 文化14年(1817年)秋、『河上集』(如髪編)。自序。九淵齋主人跋。

   冥々賀

兄どのに席をゆづりて涅槃かな

『八番日記』(文政4年)

文政7年(1824年)8月22日、84歳で没。

吽と突この杖を見よ一字観

冥々の句

秋の水古五器ひとつ流れけり


春の雨灸のあとの皆癒し


   相中

さがみ川わたらば秋のいなんかな


捫たる虱はなしつほとゝぎす


浅氣生や露の上ゆく図両


月に雲扨しも花の散夜哉


朝風やつと入り来たる扇うり


鶴のつかひ月にわかれて朧なり


おのか世と船に飯くふ鵜飼かな


浅茅野や露の上行影法師


飛とりの冬また春となりにけり


灯ともして人にしれつゝ冬篭


行秋もひと夜となりぬしのぶくさ


名月や西に東に北の人


おのが世と舟に飯喰ふ鵜飼哉

行秋も一夜になりぬしのぶぐさ


竈馬や我胝もちかきうち


人の扇ゆかしとおもふ折もあり


卯月とは花に別れし名なるべし


浅茅野や霧の上行影法師


花の雨てりてり小法師まけにけり


秋雨や誰こゝろみるくさめ草


ねし朝気蕗の姑ふくれけり


老て行長者に子なき寒かな


転ふ露転はぬ露をさそひけり


太閤の御耳かすれ杜鵑


八朔に目出たや五斗の米ぶくろ


夜る夜るは何処となく秋の立に鳧


たゞ居れば螢に袖をかられけり


   六浦夜泊

夜時雨や鐘なる所称名寺


縁ありて蛙とりつく經木かな


老て行長者に子なき寒かな


案山子にはなられじと泣和尚哉


花に風吹ぬ日ハなしすこしつゝ


乾鮭を本尊にして冬籠


しはしやめて夢はんしせよ傀儡師


   六浦

しぐるゝや鐘鳴かたが称名寺


空也寺の犬にかさうぞ此帋子


から鮭を本尊にして冬ごもり


風鈴の先やちりんとこぼれ梅


空也寺の犬にかさとる紙ぶすま


箒木ゝの種も萠けり小柴垣


ある僧のすまして去し清水哉


行としや世にふるされて葛の松


卯月とは花に別し名成べし


梨子壷の出入もせりみそささゐ(い)


ある僧の澄して去し清水かな


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