倉田葛三



『豆から日記』

文化12年(1815年)春、『豆から日記』(葛三編)。自序。

宮本虎杖が梨翁と改名した記念集。葛三の最後の選集である。

   歳 旦

七十を見かへる梅のはつ日かな
 梨翁

はつ春や出あるく先かみな親子
 雉啄

よろこへやとあれかくあれ梅の花
   長谷
 超悟

不沙汰して覗く処に梅の花
   甲斐
 漫々

なかなかに夜こそまされ梅の花
   伊勢
 滄波

新草に野松の色も添てけり
   新田
 嵐窓

鶯に山のたよりもきく日かな
   坂木
 雨紅

うくひすや浅茅のすへの屋敷あと
  さかみ
 洞々

鶯のひき音や家に家の影
   
 五渡

正月は雨のもる日を覚けり
   諏方
 若人

正月の雨に繩たる松露かな
   
 可良久

浦の松山とも見へて霞みけり
   戸倉
 鳳秋女

古郷やたまさかにとて春の雪
 八朗

満月のさせはくつれて春の雪
   安芸
 玄蛙

庭も野もおなし朝日や雉子の声
  さかみ
 仙鳥

親村の寄合(ひ)ふるゝひかんかな
   下総
 雨塘

焼野とはたゝ四五日の名なりけり
   
 碩布

花の雨日枝見送らぬ人もなし
   
 雪雄

人のしる人のわかくて花のぬし
   甲斐
 嵐外

散も咲も花はおしけのなかりけり
   三河
 秋挙

さゝなみや花に宿かる七所
 卓池

夕月をまたすや花を掃をとし
 叙来

夕風の花に着せはやかくれ蓑
   江戸
 可麿

さひしさの種こそまかね宿の花
 碓令

旅こゝろとかくほそきに雨の花
 護物

としよれは度をうしなふや花盛
 成美

うちとけた春やそろそろ花もちる
 道彦

ちる桜いまたかきりの色ならす
   上田
 雲帯

松島の人も出立かさくらかり
 応々女

うき人の数にもたらすはつ桜
 葛三



嬉しさの先ひとふしを畑芹
 葛三

籬の山をとし玉にして
 椿老

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