行庵洒雄
『十かへりの花』(洒雄編)
文久元年(1861年)7月20日、久米逸淵は72歳で没。 文久3年(1863年)、久米逸淵三回忌に刊行。 |
帰るより又あはれなり残る雁 | 逸淵居士 |
仰く甲斐なく霞む朝ゆふ | 洒雄 |
おもひ出す三とせもむかし花寒し | 等栽 |
花の坐ハなへて花ふる供養かな | 見外 |
帰るより哀と有し逸淵翁の遺章に老の |
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泪先こほれて |
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ミとせたつ春やことしも残る雁 | 青荷 |
露と見る名残のしものなこり哉 | 寄三 |
月に花に思ひ出しけりツエの迹 | 紅於 |
帰るよりとありし遺章を立句に百韵を |
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いとなみけるに |
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あつまりてぬれ羽ふるふや残る雁 | 半湖 |
枯草の茅ふりほどく柳かな | 涼松 |
声ふるきさとや夜雨にほとゝきす | 五渡 |
又こゝに加賀の御門や子規 | 卓郎 |
ほとゝきす雨にハとゝく紙燭哉 | 永機 |
法筵の賑は師の余光、営は雄子の真 |
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心也 |
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身に覆ふかけや弥生も月のつゆ | 弘湖 |
花ちりて安きさくらの姿かな | 紅於 |