俳 人

『海内俳家人名録』
(花屋庵鼎左・五梅庵舎用編)
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 嘉永6年(1853年)、『海内俳家人名録』(花屋庵鼎左・五梅庵舎用編。惺庵西馬校合)護持院梧青序。

由太 一号往来庵 筑前遠賀郡柳川村 千々和好琢

 行と来る音きく夜の時雨かな 由太

一具 一号断橋又抱愚 東都中橋槙町御油座 一具庵

 木からしや待は久しき明の鐘 一具

一朗 一号掃雲楼 上毛伊香保 永井喜右衛門

 雨添てなほつもりけり花の雪 一朗

由誓 一号坎窩 東都柳橋寓居 為誰庵

 野の草に思ひくらへる躍かな 由誓

逸淵 一号飄隠居 東都木挽町壱丁目 可布庵

 蜂の巣や撞ぬ尾上の鐘の中 逸淵

一九 一号三世十返舎 東都銀座三丁目 三浦太郎左衛門

 烟るのは藁火の常や露しくれ 一九

葛古 一号水篶屋 信州小諸在八満村 小林勝右衛門

 払うてる雪にせはまる戸口かな 葛古

江三 別号一日庵 奥州大河原駅 村井氏

 名月や更て漸く秋の月 江三

曲阜 別号照顔斎 摂津伊丹 大和田屋金四良

 雉子鳴やよい駅なれと一重町 曲阜

寄三 一号不知庵 武州中瀬 河田甚平

 灯よりいそく日暮の炭火かな 寄三

旭斎 一号□□ 下総佐原多田新田 東彦太郎

 杖笠も置て新茶の端居かな 旭斎

錦苔 一号 奥州盛岡立花村 □□

 夜汐さす明りのうへやうめのはな 錦苔

禾月 一号足了庵 奥州仙台 横田氏母

 うへひとつ総て日永き噺かな 禾月

見外 一号人間世廬 東都日本橋浮世小路 菊守園

 鍋塒に鶏眠る五月かな 見外

幻亜 一号楓堂 上毛群馬郡中郷村雲水 小淵氏

 はつ蝶やふたりて見たり嘘はなし 幻亜

五渡 一号有磯庵 武州妻沼 大和屋定七

 名月や常は聞えぬ島のかね 五渡

弘湖 一号一嵩居 東都雲水 遠山氏

 合歓に時うつすも安し草枕 弘湖

茶山 一号六合庵又松叟 周防産後見附住 松岡氏

  山陽に生れて北陸に老たり

 ふるさとははなの日頃やうめの花 茶山

而后 一号暮雪亭 尾張名古屋京町筋益屋町 伊藤道善

 庭木吹風をなくさむ小春かな 而后

洒雄 一号 美濃厚見郡切通村産 伊藤氏

 毒菌もとの雫となりにけり 洒雄

松什 一号有無庵 東都古人 鈴木安五郎

 秋待といふは夜によるこゝろかな 松什

心足 一号平花庵又白檮蔭又白髭翁上毛高崎 高井左衛門太夫

 人もみぬはしめ終りや榧のはな 心足

二丘 一号 出羽最上漆山 半沢久次郎

 たゝまねは猫の寝たかる衾かな 二丘

似湖 一号月迺家 出羽最上吉川村 工藤虎吉

 出次手に星もなかめつ梅の花 似湖

舎用 一号思初 奥州仙台南町 五梅庵

 高みから望めは浅し冬の雨 舎用

宣頂 一号一路観 相模大山 沼野掃部

 夜顔みたる月の雫や別れしも 宣頂

西馬 一号蕉林又俵□子 東都新橋惣十郎町 惺庵

 暮過や眼にわするれは鴫の声 西馬

雪潮 一号貢庵 越後蒲原郡下今町 石田甚兵衛

 移り気や袷は風のこらへよき 雪潮

清民 一号是非庵又観山 山辺氏

 笠島や蓑輪をかけてゆく時雨 清民

井田 一号仏松庵 奥州三春藩 田養斎

 くたひれて花の影ふむ月夜かな 井田

遜阿 一号 奥州桑折駅 観音寺

 しら露にものいひかはす隣かな 遜阿

宗古 一号松洞 奥州仙台 伊藤氏

 月かけの庭をはつるゝ寒さかな 宗古

卓郎 一号 東都矢ノ倉 孤山堂

 いさのふか簷の黙滴白うなる 卓郎

卓丈 一号 加賀金沢 十丈園

 腹あけてものいふ秋のゆとりかな 卓丈

稲州 一号 葎茶園 出羽最上稲沢 工藤三九郎

 ひと時雨過せし竹の光りかな 稲州

多代 一号晴霞庵 奥州須賀川 市川氏女

 花やかに年はよりたし飾り海老 七十八才多代

竹烟 一号□□ 上毛草津 一夏庵

 ひとつ来て鳴炎天のからすかな 竹烟

鼎左 一号桃之本 大坂南久太郎町南御堂前芭蕉翁終焉之地 花屋庵

 鶯も老ては松のはやしかな 鼎左

天由 一号順水庵 武藏玉川用賀邑 鈴木六之介

 思ふ事ありけに莟む桔梗かな 天由

等栽 一号□□ 東都北新川 佳峯園

 ひとつ葉のぬれぬもさひしはつ時雨 等栽

吐月 一号 奥州盛岡石鳥谷 三国屋又兵衛

 雲に遣る眼の草臥や花の雨 吐月

南々 一号柿寿窓又柿園 武州中瀬 斎藤安兵衛

 明空や東風には早き雲はしり 南々

抱儀 一号行雲又鴎嶼 東都浅草 不知斎

 深しともみぬ野果なし枯尾花 抱儀

梅笠 一号 東都神田小柳町 春秋庵

 丹波路へ気先のむかふ雪解哉 梅笠

梅周 一号些庵 出羽最上稲沢 工藤儀蔵

 もち直す朝の天気や蝉の声 梅周

半湖 一号揚州 上毛産雲水 服部氏

 鳴かたは別に夜のすむ水鶏かな 半湖

フ山 一号二妙庵又梅窓 出羽米沢銅屋町 高橋六右衛門

 くらしよき里の小寺や竹の春 フ山

文人 一号至誠堂 奥州伊達当時住仙台 多田玄庵

 けし一重朝のこゝろに似合わしき 文人

万古 一号稲掛庵 東都中橋上槙町 大川源治郎

 鶺鴒に追るゝひるのちとり哉 万古

万雪 一号器水庵 奥州牡鹿郡流留浜 松井忠作

 鳥もこの折にふれてや御祓川 万雪

嵐牛 一号■■ 遠江塩井川原 伊藤清左衛門

 よしもなく立日嬉しき暑さかな 嵐牛

里椿 一号万秋庵 東都山下町 椿岱次郎

 もう立に間のなき声の巣鳥かな 里椿

礪山 一号椿杖斎 近江粟津 義仲寺

 ふいに来て一番風呂や麦の秋 礪山

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