加藤暁台

『風羅念仏』(法会の巻)

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士朗序、はせを堂蘭更跋。

 天明3年(1783年)3月、加藤暁台は湖南幻住庵、洛東安養寺端寮、金福寺芭蕉庵の3ケ所で芭蕉百回忌取越追善俳諧を興行。

三月十一日於幻住庵興行

      追善之俳諧   正式

   四方より花吹入てにほの湖

   雲の亂れも春のほそほひ
   曉臺

   夕乙鳥蹴鞠のはつみ横切て
   臥央



同十二日同所

      追善之俳諧   正式

   唐崎の松は花より朧にて

   東風吹鎮む志賀のさゝ原
   曉臺

   かけろひて燈心賣の戸の口に
   佛仙



同十四日洛東於安養寺端寮興行

      追善之俳諧   正式

   花さかり山は日頃の朝ほらけ

   霞を袖にしはし栖す
   曉臺

   劔うつ友なつかしく春過て
   洞里



同十五日同所

      追善之俳諧   正式

   しはらくは花のうへなる月夜哉

   里しつまりて聲すめる雉子
   曉臺

   假まくら琵琶の嚢のあたゝかに
   闌更



      同日後坐   亂吟

   景清も花見の座には七兵衞

   かほにあふきの風情春風
   曉臺

   鳴わたる聲やおくれし雁ならん
   蝶夢



同十六日同所

      追善之俳諧   正式

   花の陰謡に似たる旅寢かな

   鳥飛に倦くれかての春
   曉臺

   海苔火とる柴の焚屑かきよせて
   几董



同十七日同所

      追善之俳諧   正式

   花咲て七日鶴見る麓かな

   水ゆく方に春や滿らん
   曉臺

   飜へせ永和九年の唐衣
   蕪村



同二十三日四明洞下於金福寺芭蕉庵興行

      追善之俳諧   正式

   花さかり奇特や日々に五里六里

   降すて霞む雲の尻兀
   曉臺

   鳳巾の糸心行迄のはすらん
   蕪村



      墓前焼香   各詠
粟津幻住庵社中
   風羅佛此花の座に影向あれ
   騏道

   花にそゝくすゑや一味の春の水
  幻住庵
臥央



      靈 前   當日吟聲

      素堂老人の翁を思へることのはの
      一句をかへて遠く思ひやるといふ
      心をのふ

   まほろしや湖の水志賀の花
   東武成美

   のりうりて法會に參る人は誰浙江

   陽炎や其俤を塚のうへ
   湖東亞渓

      靈 前 各 詠   以下平安

      暮雨巷のぬし、蕉翁追福の營あり
      けるにやつかれも像前にありてあ
      またゝひぬかつく

   道のため花に翁の魂まつる
  半化坊
闌更

      祖翁の遠忌行はれけるに

   手傳ひてともにさゝけん花かたみ
  五升庵
蝶夢

   月や日や花やむかしのしのはるゝ瓦全

   十月のさくらの香あり春の花百池

      祖翁百回大會

   空にふるはみよしのゝ櫻嵯峨の花
  夜半亭
蕪村

      靈 前 各 詠   以下名古屋

   花さくら身に請ぬ人はなかりけり士朗

   春千里風羅念佛の聲滿り岳輅

   花の雲命嬉しき春にあへり羅城

   花七日なゝ夜を月にしのふかな曉臺

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