吉川五明

『波羅都々美』(五明編)



寛政10年(1798年)3月、淡山園主人序。

宗佐垣訪ひ(へ)鉢なる茄子哉
   可来

古家や草の中より百合の花
   成美

かへらうか盃見えぬ花の山
   道彦

ちればとてほとりにもなしなし山桜
   渭虹

夕影や鴫のすれ行荻の声
   士朗

さかやきの二日に成し初秋や
   吾長

飯もりの砧うちけり眠りけり
   重厚

火の燃る方へ秋鵜の歩かな
   丈左

川風のさらば吹こせ梅のうへ
   乙二

蚊屋ふたつもちてつたなき心哉
   素郷

白菊やまがきをめぐる水の音
   二柳

湖をしろしと見れば月夜哉
   升六

梶の葉や三粒降ても星の雨
   長翠

秋風や膸に入たる草の虫
   春鴻

梅に人夜は闇にてもなかりけり
   葛三

芹生にて芹田もちたし春の雨
   巣兆

橋有て其後夏の月夜哉
   春蟻

引汐の果なく霞む海辺かな
   玉屑

蕣の花のうへにもさかりかな
   一草

嵐してあらたまりたる桜哉
  鶴頭叟

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