一茶の句



『文政句帖』

   文政5年4月

   山田猿湯

春風に猿もおや子の湯治哉

   文政5年8月

墨染の蝶もとぶ也秋の風

秋風や小さい声のあなかしこ

栗拾ひねんねんころり云ながら

   文政5年12月

子どもらが雪喰ひながら湯治かな

   文政6年3月

昼の蚊やだまりこくつて後から

   文政6年5月

昼の蚊やだまりこくつて後から

   文政6年6月

湖水から出現したり雲の峯

   文政6年7月

涼しさや縁の際なる川手水

   文政6年10月

蝸牛ともども不二へ上る也

   文政6年11月

千葉寺や隅に子ども[ゝ]むり笑ひ

   文政7年6月

浅草や朝飯前の不二詣

浅草や犬も供して不二詣

   文政7年閏8月

もどかしや雁自由に友よばる

   文政7年12月

三絃で鴫を立せる潮来哉

   文政8年3月

   両国橋遠望

時鳥小舟もつういつうい哉

   文政8年6月

夕立や象潟畠甘満寺

   文政8年9月

子どもらや烏も交る栗拾ひ

   文政8年12月

善光寺やかけ念佛で明の春

『文政九・十年句帖写』

   (文政9年)

   吉原

乙鳥(つばくら)やぺちやくちやしやべるもん日哉

   (文政10年)

   柏原大火事、壬(閏)六月朔日也。

焼つりの一夜に直る青田哉

   文政十亥七月、六川天神宮奉納二句

馬士も烏帽子着にけり梅の花

心の字に水も流れて梅の花

   芭蕉翁丈山像讃

風薫る羽折(織)は襟もつくろはず

文政10年(1827年)11月19日、一茶没。

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