加藤暁台

『蛙啼集』

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 宝暦12年(1762年)10月、矢作の橋守園連中が聖願寺十王堂に蛙塚を建立した折の記念集。

 宝暦13年(1763年)10月、暁台自序。

蛙塚


古池や蛙飛込む水のおと

      序
    暮雨主人

雪中に芭蕉を画て其虚を伝ふるあり。霜露にばせをを植て其信をとゞむものは三州矢矧の騒客があらたに爰に蛙塚を築く。

   懐 旧

爰かしこ蛙啼く江の星の数
   其角

一畦はしばし啼やむ蛙哉
   去来

取付ぬちからで浮ぶ蛙かな
   丈草

雨蛙なけや茄子の花見せむ
   支考

山の井や墨の袂に汲かはづ
   杉風

うき時は蟇の遠音も雨夜哉
   曽良

春先は蛙となりて湯壺哉
   許六

よしなしやさての(ママ)芥とゆく蛙
   嵐雪

   亡師の廟前にて

もろともにむせぶか我は蟇の声
   乙州

暁をむつかしそふに啼蛙
   越人

菜の花を身うちに付て啼蛙
   李由

雨の蛙声高に成るもあわれ也
   素堂



   十百員発声
 張府

溜池や去年の落葉に啼蛙
   也有

 春たれこめる雨の裏門
   竹布



あづさ弓矢矧の里に俳諧の信士ありて、あらたに蕉翁の墳をいとなみ、此道の光りを挑(かかげ)んとす。もとより爰は駅路にして上り下りの笠の端たえず、風騒の旅客縁をむすぶに便あしからず。まして彼翁は生涯雲水を事とせしかば、海川の守りも祈らばしるしあらざらむや。されば風雅の故ならでも、誰か碑前に頭をかたぶけざるべき

塚に脱ぐ徃来(ゆきき)の笠や時雨ても
   也有



ばせを忌や発句はあまたの念仏より
   東都湖十

短冊の手向の数や散る木の葉
   尾鳴海蝶羅

昼中はこらへ袋のかわづかな
   武州鴻ノ巣柳几

古池の水こそかれね手向草
   国府米林


尾府

 暮雨巷

湖の水啼こぼすかわづかな
   暁台

果しなき水のくもりや啼蛙
   支朗

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