佐久間柳居

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『あみ陀笠』

 寛保3年(1743年)初冬、佐久間柳居は吐花らに送られ鈴木戸凉を伴って光明寺の十夜詣に出掛けた。

我と影とうなつきあふたる旅催ひにひとり殖えふたり加りて同行五蓋の笠うち着つゝ天晴千里も行へきうくひすの先さゝ鳴に笹の霜踏習ふへしと鎌倉の十夜詣を思ひたつ是に旅の具を花鳥によそへて餞せし人々は

   寄花頭陀

帰り花見にとや頭陀の軽出立
   吐花

その人々もしはしの名残を惜しみて浜川といふ処まて見送らる既に三盃の情を尽して後口々にいとま乞して立別るゝ時

聞捨て行やちとりの浜川原
   柳居

けふはわけて小春の空あたゝかに枯野の道草喰ふて行先は野山のいとひなく舎らんものをと道々の堂社をふし拝み或は茶店に腰うちかくれは心の花も帰り咲して殊に日長く覚たり

   鈴森八幡

鈴石は用心もよし神の留守
   戸涼

其夜は光明寺にこもる参詣の老若男女いく同音に御名を唱れは由比の浪も是に響きをそへ十四夜の月百八の灯火かゝやきあふて並居たる人の面も金色となれりひとへに蓮華台上に遊ふか如し

海女の手も抹香くさき十夜哉
   柳居

死うなら今そ十夜の光明寺
   杜涼

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