ひと日榛名山に詣ス。道すがら五月雨のあやめと読る沼を見る。 風景いとよし。小富士と云やまあり。 時しらぬ山かと涼しとまり鷺 |
伊香保の沼にて 、 雨はこぶあらしの沼のかつみ哉
「鎌都」 |
又跡にもどりて、茶店より右に下りて行き、山の番所を過ぐるに、波E々(べうべう)として閑に、雲片々として水底いそぐ御池有。廿丁四方もありなん。 |
大正8年(1919年)5月31日、若山牧水は前橋の山崎斌を訪れ、2泊。6月3日、榛名湖まで出かけた。 |
草津を経て榛名山に登り山上湖畔なる湖畔亭に宿る、鳥多き中に郭公最もよく啼く。 |
山の上の榛名の湖のみづぎはに女ものあらふ雨に濡れつつ(その一) みづうみのかなたの原に啼きすます郭公の声ゆふぐれ聞ゆ
『黒土』 |
昭和7年(1932年)7月31日、高浜虚子は伊香保に遊び、榛名湖へ。 |
榛名湖のふちのあやめに床几かな 昭和七年七月三十一日 伊香保に遊び、榛名湖にいたる。 |
昭和14年(1939年)10月6日、与謝野晶子は伊香保温泉から榛名湖へ。 |
秋の日の空の曇りて恐しき氣(け)に包まれし山のみづうみ 湖や手など人振り小舟來ぬ新月ならばいかにしてまし
『白桜集』(伊香保遊草) |
十月の天神峠うす墨の雲の中にてこほろぎの鳴く
『白桜集』(伊香保遊草) |