新年の旅日記
医王寺〜「芭蕉塚」〜
四国中央市土居町入野に医王寺という寺がある。
七寶山醫王寺
臨済宗東福寺派の寺である。
本堂の左手に「芭蕉塚」があった。
物云へは唇寒し秋の風
出典は『芭蕉庵小文庫』(史邦編)。
『蕉翁句集』(土芳編)は「元禄四未ノとし」とする。
安永元年(1772年)、山中時風建立。
山中時風は暁雨館の主。松木淡々に師事していた。
宝暦11年(1761年)11月2日、半時菴淡々は88才で歿。
「芭蕉塚」の左に「半時菴朝水居士発句塚」があった。
かりのよや畑の夕月朝みとり
寛政7年(1795年)1月8日、一茶は暁雨館に泊まっている。
廿五日、入野の暁雨館に泊る。
廿六日、野辺を逍遥す。折から住吉に詣て
楽書の一句拙し山ざくら
廿七日、雨天なれば恭(泰)山和尚と共に土居の人々を訪ふ。乙春亭にて、
春雨や独り法談二はいかい
忌明の伽に来る日ぞ春の雨
雨かすむ貴(木)地のあの山めづらしや
三風士に相見して帰る
泰山和尚は医王寺の住職。北海坊秋几と号す。
一茶は医王寺を訪れ、「春や昔月や此碑の朝みどり」の句を詠み、短冊を山中家に書き残しているそうだ。