芭蕉の句碑
雲霧の暫時百景を尽しけり
静岡市清水区村松に鉄舟寺という寺がある。
臨済宗妙心寺派の寺である。
明治の初め、山岡鉄舟が復興。
鉄舟寺の裏山に観音堂がある。
観音堂の前に芭蕉の句碑があった。
雲霧の暫時百景を尽しけり
出典は『芭蕉句選拾遺』。
貞亨元年(1684年)秋、『野ざらし紀行』の旅で詠まれた句とされる。
『野ざらし紀行』には「雰しぐれ富士をみぬ日ぞ面白き」とある。
天保10年(1839年)8月、當山三十二世法印行超房傳明建立。
碑の裏に雪中菴對山の句が刻まれているが、よく読めなかった。
『静岡県にある芭蕉の句碑』(塚本方円著)によると、碑の裏に56句が3段に記され、左に對山の句「夕月の出て隙とるや船の中」が記されているそうだ。
観音堂
昭和11年(1936年)4月12日、与謝野晶子は鉄舟寺観音堂を訪れている。
鐡舟寺補陀落山に昨日より友我れを待ち花散り初めぬ
山深き奥に如意輪おはしまし櫻がちなる鐡舟寺かな観音像
同年7月7日、与謝野晶子は再び鉄舟寺を訪れている。
しら露や禪師三界萬靈のために淨めし夏草の庭(鐡舟寺にて)
鐡舟寺老師の麻の腰に來て驚くやうに消え入る螢
この春の落花の痕も殘らずて暗き御寺の門のうちかな
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