芭蕉は元禄7年(1694年)9月9日、故郷の上野から奈良を経て大阪に入り、13日には住吉の宝の市で名物の升を買っている。これはその翌日の句席での挨拶の発句。 住吉の津は古くから海外貿易の拠点として栄え、定期的に市が開かれ、経済だけでなく文化の発展にも大きな役割を果たしてきた。宝の市はその名残りで、江戸時代には社前で売られる升を求める参詣人で賑わった。 芭蕉は同年10月12日、南御堂近くで没しているので、住吉詣でと、宝の市は生涯最後の旅で、ここがゆかりの地となっている。 この句碑は元治元年(1864年)芭蕉没後170年を記念して、大阪の俳句結社「浪花月花社」が建てたものである。
(財)住吉名勝保存会 |
住吉たからの市 月ひとつ宝拾ふや市の跡 |