芭蕉の句碑


蝶の飛はかり野中の日影哉

見附市葛巻の旧家に芭蕉の句碑があるというので訪ねてみた。


旧家の広い庭に新旧2つの句碑が並んでいた。

旧 碑


蝶の飛はかり野中の日影哉

出典は『笈日記』(支考編)。「尾張部」に収録されている。

貞亨2年(1685年)、『野ざらし紀行』の旅の途中、鳴海付近で詠まれた句。

明治28年(1895年)、速水乙洋建立。石田方古書。

乙洋は当主昇太郎氏の曽祖父で、石田雪潮を師とし、本名を六弥といった。

芭蕉の句の右に雪潮、左に乙洋の句が刻まれている。

見る人にかまはず行や空の月
   雪潮

   新潟県農事試験場農夫長に召されて

枯芝も青めと降るや春の雨
   乙洋

方古は雪潮の長男である。

念故寺に雪潮の句碑がある。

明治30年(1897年)、乙洋没。

乙洋の句

古芦のかさつきそめてかへる雁


 建立から100年を経て旧碑が摩耗してきたので、旧碑の拓本を基に新たに句碑を建立したという。

新 碑


平成8年(1996年)5月、乙洋の百回忌に速水昇太郎建立。

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