芭蕉の句碑
柳小柳片荷はすゝし初真瓜
本巣市上真桑に法英寺という寺がある。
法英寺護摩堂
岐阜県指定重要文化財である。
真桑村は真桑瓜の産地として知られる。
美江寺の北半里に、眞桑村有。此地よき瓜の多く出る所也。眞桑瓜と云。其瓜は黄色にて青筋有。小瓜なり。只一種なり。むかしより毎年瓜の時、江戸へ献上す。
護摩堂の右手に芭蕉の句碑があった。
柳小柳片荷はすゝし初真瓜
碑 陰
元禄7年夏の作。51才。『市の庵』(洒堂撰)所載。句の前書に「閏五月二十二日、落柿舎乱吟」とある。落柿舎(京都)洒堂、去来、支考、丈草、素牛と六歌仙の発句。
柳小柳は柳行李。初真瓜は、「はつまくわ」と読み、真桑瓜のこと。
洒堂は近江膳所の医師。医名は道夕。
元禄6年(1693年)夏、難波に居を移して「市の庵」を結ぶ。翌年、『市の庵』(洒堂撰)。
閏五月二十二日
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落柿舎乳吟
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柳小折片荷は涼し初真瓜
| 芭蕉
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間引捨たる道中の稗
| 洒堂
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村雀里より岡に出ありきて
| 去来
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塀かけ渡す手前石がき
| 支考
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月残る河水ふくむ舩の端
| 丈艸
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小鰯かれて砂に照り付
| 素牛
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『市の庵』は「柳小折」である。
此句はさが(に)おハしける夏、之道訪ける時の吟也。白船にハ初桑瓜(ママ)と有。
「之道」は「洒堂」の誤りであろう。
元禄7年(1694年)6月3日の杉風宛宛書簡、6月15日、許六宛書簡にある。
暑気の労、句作も不レ仕候。洒堂参候哥仙興行に
柳小折片荷は凉し初真桑
其外何事得不レ申候。
許六宛書簡
真桑瓜の名は、真桑村で盛んに栽培されたことによる。
柳ごり片荷は涼し初真桑
初物は少くして片荷と作れりの評有て理屈に走る柳籠履の奇麗なる片々に初真桑を涼しく荷ひ行形容を其ままに述ておのづから意味あり。
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