伊藤左千夫ゆかりの地
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野菊の墓文学碑

松戸市下矢切の「野菊の墓文学碑」を訪ねてみた。


下矢切の小高い岡の上に「野菊の墓文学碑」はあった。


 僕の家といふは、矢切の渡しを東に渡り、小高い岡の上で矢張り矢切村と云っている所。 崖の上になってゐるので、利根川は勿論、中川までもかすかに見え、武蔵一ゑんが見渡される。秩父から足柄箱根の山々、富士の高峰も見える。東京の上野の森だと云ふのもそれらしく見える。

 村はづれの坂の降口の大きな銀杏の樹の根で民子のくるのを待った。こゝから見おろすと少しの田圃がある。色好く黄ばんだ晩稲(おくて)に露をおんでシットリ打伏した光景は、気のせゐか殊に清々しく、胸のすくやうな眺めである。

 伊藤左千夫著 野菊の墓より

 昭和39年10月

門人 土屋文明 識

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