与謝野晶子の歌碑

温海温泉

| 長岡に今朝雨を聞き夕には出羽の温海の吊橋を行く |
| 吊橋を吹きてはかなし庄内も近きさかひの山の夕風 |
| 朝市の初まりぬとて起されぬほととぎすなど聞くべき時刻 |
| さみだれの出羽の谷間の朝市に傘して賣るはおほむね女 |
| 我が借れる湯治座敷も窓あれど暗しいではの山のさみだれ |
| 二日して湯の香混りの五月雨に馴れし出羽の温海山かな |
| ほととぎす通ふに足らん御空をば上に残せる出羽の夏山 |
| 出羽とて北の空のみ明るきも慣ひ變れる山の湯の宿 |
| 湯場の屋根濡れて光れば岩燕岩と見なして遊ぶさみだれ |
| 温海の湯色を變ふてふ浴む身に随ふならば悲しからまし |
